TENDRE POISON ~優しい毒~
「やっぱりお前か」
保健医は苦い表情を作って、無造作に前髪をかきあげた。
エロ保健医。
こんなときまで仕草に無駄がなく色っぽい。
神代が好きになったのも、こんなところなのかな。
なんて考えてると、
「カマかけただけだ」
と真顔でこちらを見て言い放った。
は!?カマ……
あたしは目を開いた。
「さっき廊下を歩いてたら、新聞部の連中がパソコンがウィルスにやられたって騒いでた。最初水月の仕業かなって思ったけど、あいつそんなに陰険じゃねーし」
悪かったわね、陰険で。
「他に得する奴って言ったらお前しかいねぇからな。消去法だ」
保健医は得意げに言って両手を後ろに突いた。左手の先があたしの足にあたってあたしがちょっと足をずらす。
ムカツク奴。
その高い鼻っ柱へし折ってやりたい。