TENDRE POISON ~優しい毒~
まこを誰にも取られたくない。それは素直な感情だ。
ホントはまこの彼女の千夏さんの存在にも日々嫉妬している。
でも鬼頭には……
彼女にも……僕はまこに対する似たような感情を持ち合わせてる。
今、気づいた。
僕は最低だ。鬼頭を振っておいて、まこが好きだと言っておいて、でも鬼頭も取られなたくない。
僕は……最低だ。
そんな自己嫌悪に陥って校舎裏でむやみやたらとタバコを吹かせていると、人の気配がして僕は慌ててタバコを地面でもみ消した。
人の気配は梶田 優輝だった。
なんだろう。
酷く慌ててきょろきょろと辺りを伺っている。
「梶田、どうした?」僕が呼び止めると、梶田は目を開いて立ち止まった。
「あんた!何やってんだよ!!」
目が合うと梶田はそう言って仁王立ちになった。掴みかかってきそうな勢いだ。
でも、それはこっちの台詞だ。
「一体、どうしたって言うんだよ。そんなに慌てて」
梶田は眉をしかめると、いい辛そうに表情を歪めた。
「鬼頭が、三年の女に連れてかれた」