TENDRE POISON ~優しい毒~
鬼頭、どこにいる?
キーンコーンカーンコーン
鐘が鳴り響く廊下を僕は全力疾走していた。
「ど、どうしたんですか神代先生。そんな怖い顔して」
途中で和田先生とすれ違った。
「先生、鬼頭を見ませんでしたか?」
「鬼頭?そう言えばさっき5、6人の生徒たちと一緒に中央階段を上っていきましたよ」
「どうも!」短く返事を返すと、僕は中央階段に向かい、校舎の中央にある階段を一気に駆け上った。
この校舎に人目に着かず話し合いのできる場所なんてそうない。
内容は話し合いどころではないと思うが。
僕のせいで……そう思うと、一刻も早く彼女を見つけなければという思いに急き立てられた。
確か中央階段を昇りきったところは第三音楽室やら美術室やら使用していない教室が連なっている。
そのどこかに彼女がいる―――
そう思った矢先のことだった。