TENDRE POISON ~優しい毒~
「僕の指?」
鬼頭はゆっくり頷いた。
僕は小指を鬼頭に差し出した。
僕の指もまた、震えていた。
鬼頭は細い指をゆっくりと僕に近づけると、鬼頭は僕の指に自分の指を絡めた。
「……運命の……赤い糸みたい……」
鬼頭は一生懸命笑った。
こんなときも彼女の笑顔はとても綺麗で、思わず見とれてしまうほどだった。
太陽みたいな笑顔。
こぼれるような笑顔。
『先生……』
鬼頭の姿が楠の顔に重なる。
楠のこぼれるような笑顔に―――きれいに重なった。
ごめん……楠……
ごめん
鬼頭―――
僕のせいだ―――