TENDRE POISON ~優しい毒~

「どうって話の趣旨が見えないんですけど」


あたしはことさらゆっくり言って腕を組んだ。


「生意気な!あんた一年の梶田とかいう男子と付き合ってんでしょ。それでいて神代にもちょっかいかけてるっていうの?」


「そうだそうだ」と周りにいる先輩たちがはやし立てる。


ホントにうざい。


一人では何にもできないくせに。よってたかって。



先輩は綺麗に整えた眉を吊り上げた。


「誤解ですよ。あたしは梶と付き合っていないし、神代先生にちょっかい出したつもりもないです」


「じゃああの写真はどう説明するんだよ?」


先輩がいぶかしんで眉をしかめる。


「信じる信じないは勝手です。話は終わりですか?じゃぁ帰りますね」


あたしが先輩たちの脇をすり抜けようとすると、綺麗な先輩があたしの肩を掴んだ。


「待ちなさいよ」


「まだ何か?」


あたしがうんざりしたように振り向くと、振り向きざまに平手打ちが飛んできた。


あたしの頬を直撃する。




「ったー」あたしは頬を押さえて先輩を見据えた。


先輩、あたしの信条知ってます?




やられたら二倍返しで返すってね。



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