TENDRE POISON ~優しい毒~
◆午後0時の企み◆
◇◇◇◇◇◇◇◇
計画はうまく行っていた。
ただ一つあたしが怪我をするというアクシデントを除いては。
そう。完璧にアクシデントだったんだ。
こんなの計算外だ。
でも結果的に神代のマンションに潜り込むことができたから、それはそれで良かったのか。
傷の痛みと引き換えに、神様はあたしに運を与えてくれた。
あたしが荷物を持って神代の車に戻ると、相変わらず示し合わせたかのように押し黙った二人が前の席でしかめ面をしていた。
あたしはその理由を問いただすことができずに、三人で神代のマンションまで移動した。
その重い空気の中、保健医も交えて三人でピザを食べることに。
ゆずもいたおかげかな。場は何となく和んでたけど、神代は食欲がないみたい。ピザを取る手が進むことはなかった。
食べ終えて、あたしは学校の鞄の中を覗いた。
ケータイの着信を報せるランプが点滅している。ケータイを開くと、
不在着信:梶田 優輝
と表示されていた。
着信履歴を見ると4件ほど梶の名前が連なってる。
梶……そう言えばあの現場にいたっけ…
記憶が曖昧だけど、遠くで梶の声を聞いたのはどうやら間違いじゃないみたい。
心配してくれたんだ。
二人はお酒が入ってるせいかな、幾分かさっきより饒舌になってタバコを吹かしながら談笑していた。
あたしはトイレに行くふりしてその場からそっと離れると、廊下に出た。
急いで梶に電話をする。