TENDRE POISON ~優しい毒~
あったかい……
神代の……先生の手だ。
先生の柔らかい髪があたしの頬にかかる。シャンプーの香りがする。
先生の唇……
不思議だね。最初のキスのときも思った。
先生の唇って冷たいかと思ってた。
乃亜姉にあんな酷い仕打ちをしたんだもん。もっとずっと冷たい人間だと思ってた。
だけど、あなたの唇は熱を持ったように熱くて……
柔らかい。
キス……
―――どれぐらい眠っただろう。
目覚めは突然やってきた。パチッと目を覚ますと、目の前に神代の寝顔のドアップがあった。
あたしはびっくりして文字通り飛び上がりそうになった。
何で!?何で隣に神代が寝てるの?
混乱する頭を整理させるため、あたしは起き上がろうとした。そこで初めてあたしの手がしっかりと神代の手に絡みついてることに気づいた。
何で……あたし手……
まだ完全に起き切っていない頭に鞭打ってあたしは思考をフル回転させた。
昨日……
そっか、あたしが「傍にいて」ってお願いしたんだった―――
昨夜のことを思い出すと、顔から火が出そうだった。
痛みで朦朧としているとはいえ、あたしは何て恥ずかしいことを口にしたんだ。
一人で身悶えてると、隣で神代が
「……ん」と短く声をあげた。