TENDRE POISON ~優しい毒~
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僕は職員室に戻ると、鬼頭の過去の成績表を眺めた。
開いて僕は目を剥く。
テストでは毎回学年一位。
それも毎回満点に近い点数だった。
現に僕の作ったテストも毎回高得点をあげている。
授業態度も悪くなく、他の先生たちからの受けもまあまあだった。
と言うより、可もなく不可もなく。悪い意味でも良い意味でも目立つ行動をする生徒ではない。
『お前何か恨まれるようなことしたんじゃねぇの?』
まこの言葉がよみがえる。
そうかもしれない。
自分では、他の生徒と分け隔てなく接してきたつもりだったけど、どこか気に食わないことがあったのかもしれない……
「神代せーんせ」
ふいに名前を呼ばれ、タバコの箱が僕の手元に置かれた。
顔をあげるとまこが立っていた。
「ちょっと付き合ってくんない?」