TENDRE POISON ~優しい毒~
保健医の指は思いのほか細くて長くて……きれいだった。
繊細な手付きで包帯を取り外すと、慣れた手つきで消毒を済ませる。
鮮やかな手付きで包帯を巻くと、
「よし!もういいぞ」と言ってポンと軽く背中を叩いた。
「あ……ありがとうございました」
「どういたしまして」
保健医はそう言って持参してきたアルミの鞄に消毒液などを片付けてる。
ホントに興味がなさそうだ。
色仕掛けでも落ちないかも……
あたしがじっと保健医を見ていると、
「なんだよ?」とちょっと眉をしかめて保健医が顔をあげた。
「早く服着ろよ。風邪ひくぞ」
「ガキは興味ないんでしょ?」あたしはつんと顔を逸らした。
「何だ?襲ってほしいのか?」
意地悪く笑う。
「な!そんなこと誰も言ってない!!」
保健医は軽く笑い声を上げると、急に笑うのをやめて目を細めた。
「でも……。ふぅん。お前けっこーいい体してんじゃん。ガキのくせに」
「な!!何言ってんの!?」
あたしは慌てた。思わず握っていたパーカーを胸元まで引き寄せる。
だけど保健医はあたしのパーカーを取り上げて、あたしの腕を引いた。
ドサッと音がして、あたしはソファに倒された。でもさすが保健医。怪我をしてるほうに腕を回してあたしが痛がらないようにしてる。
保健医が覆いかぶさってきた。
いつかの保健室でも同じようなことがあった。
「ちょっ……」
顔を強張らせて言いかけたときに、
ガチャっと扉が開く音がしてあたしと保健医は同時にその音がする方へ顔を向けた。
呆然とした顔で、神代が突っ立っていた―――