TENDRE POISON ~優しい毒~
授業が始まって教室に向かうと、鬼頭と違う学年の教室内でもひそひそと噂が流れていた。
噂にはたっぷりと尾ひれがついていたけど。
僕は聞こえてない振りを決め込んだ。
何とか午前中の授業を済ませると、僕は慌てて車に乗り込んだ。
まこがいるとは言えちょっと鬼頭の様子が気になったんだ。
制限速度の30キロもオーバーして車を走らせ、僕はマンションに辿り着いた。
昼の12時15分。
もうまこは来てる筈だ。
あの二人、仲がいいのか悪いのかよく分からないけど、うまくやってるのだろうか。
心配する気持ちが僕を急かして、鍵を開ける手が滑る。
ガチャっと音がしてドアノブが回る。玄関口にまこの大きな革靴があった。
良かった。ちゃんと来てくれたみたいだ。
僕がリビングの扉を開けると、
ソファの上に二人の重なった姿を見た。
まこが鬼頭を押し倒している―――ように見えた。
しかも鬼頭の上半身はブラ一枚だけだった。