TENDRE POISON ~優しい毒~
「……ごめん」
僕は二人の顔を交互に見ると謝った。
「別にいいよ。ま、あんなシーン見たら誰でもそう勘違いするよね」
と鬼頭はまこを見上げると、髪をかきあげた。
今日もタンドゥルプアゾンの香りが爽やかに香ってる。
いつも思う。
鬼頭が髪をかきあげる仕草は……
とても色っぽい。
少女のようなあどけなさと大人のような色っぽさを併せ持ち、
そのアンバランスさが危うい。
って何を言っているんだ、僕は……
「お前昼飯食ってないだろう?何か作るよ。食ってけよ」
まこの言葉に僕は弾かれたように我に返った。
「え、いや。いいよ。もう時間ないし。ちょっと鬼頭の様子が心配だったから見に来ただけで」
「……ありがと。優しいんだね」
鬼頭は微笑んだ。大人の女が見せるちょっと妖艶な微笑みだった。
ちょっとドキリとする。
僕はさっきどっちに嫉妬したんだろう。
何にショックを受けたんだろう。