TENDRE POISON ~優しい毒~
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長くて短い一日が終わった。
鬼頭と同じクラスの梶田は僕を見ると何か言いたそうに、呼び止めたが結局何かを言ってくるわけではなかった。
怒ってるという風ではなかった。
たぶん鬼頭のことが心配で、でも僕に容態を聞いてもどうにもならないと思ったんだどうな。
梶田、ごめん。鬼頭は今うちにいる。
でも、痛み止めが効いてるおかげかな、今はだいぶ落ち着いてるよ。
僕は心の中で呟いた。
マンションに帰ると、まこが待ちくたびれたようにぐったりしていた。
「まこ、今日はありがとう」
「ったく、ガキのお守りは疲れるぜ」
そう言って肩をちょっと叩く。
「鬼頭とは仲良くしてくれてた?」
僕が聞くとまこはちょっとうんざりしたように、目を細めた。
鬼頭は僕の寝室にいるらしい。僅かに開いたドアの隙間から光が洩れてる。
「仲良くも何も、あんなめんどくせぇ女初めてだぜ」
めんどくさい?
「肩凝った。ちょっとマッサージしてくれね?」
ソファに座ったまこが僕を見上げる。
「……うん。それぐらいなら」
僕はソファの後ろ側に回ると、まこの肩に手を回した。
僕とは作りも大きさもまるで違う広い肩。
こうゆうのを男らしいって言うんだろうな。