TENDRE POISON ~優しい毒~
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食事を終わって僕が後片付けをしていると、鬼頭はゆずと一緒にテーブルに何か紙を広げていた。
「あ~、だめだよっゆず。これは食べ物じゃないの。
君はさっき食べたでしょ」
時折キャハハっと声をあげてゆずと遊んでいる。
ゆずはすっかり鬼頭が気に入ったようで、彼女にべったりだ。
愛情を注いで育てたのは僕なのに、ちょっと嫉妬。
だけど、仲良くなってくれて嬉しく思う。
僕が洗い物を終えてリビングに戻ると、鬼頭は頬杖をついてう~んと唸っていた。
真剣に悩んでいるから宿題かと思いきや、テーブルに乗った紙は
“校内イケメンコンテスト”って書かれてた。
僕はがくりときた。
「鬼頭もこんなものに興味があるんだ」
「こんなんがあるなんて最近知った。1番はやっぱり先生でしょ?2番は……」
すでに1位の欄には僕の名前が書き込まれてた。
嬉しいような、恥ずかしいような……
でもやっぱり、
「恥ずかしいかヤメテ」
僕が鬼頭の手元から紙を抜き取る。
「何で?いいじゃん」
「良くないよ。恥ずかしいよ、こんなの」
「ちょっと返してよ」
鬼頭が手を伸ばす。
気づいたら僕と鬼頭の顔が至近距離にあった。
ドキリ。
また心臓が音を立てる。