TENDRE POISON ~優しい毒~

着替えを済ませて、ついでにコンタクトからメガネに替え、バスタオルを首に巻いてリビングのドアを開けると神代はソファでタバコを吸っていた。


「シャワーありがと」


「うん……」と言いかけてちょっとあたしを見たのち、神代はびっくりしたように目を丸めた。


「何?あたし変?」


「ううん。メガネだからちょっとびっくりした……。鬼頭って目悪かったんだ」


「ああ、これ?」


あたしは赤い縁取りのメガネの端をちょっと持ち上げた。


「視力は両目とも0.1ないんだ」


「そっか。メガネでも鬼頭は可愛いな」




は?可愛い?




言った本人も、気づいたのか、


「いや、深い意味はないよ。似合うってことっ」と慌てた。



あたしはメガネをとってタオルで顔を覆った。


額を拭く振りして、上気した顔を隠した。



風呂上りで、なのか。それとも神代に可愛いって言われたからなのか……



どちらか分からなかった。





あたし……変だ……



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