TENDRE POISON ~優しい毒~
僕は男が好きというわけじゃない。
実際今まで付き合ってきた子たちはみんな女の子だった。
まこのことは……
はっきりと気持ちに気づいたのは、この高校に教師として就任して間もなくの頃だった。
気づいたら好きになってた。
目が彼を追ってしまう。
彼の全てを知りたくて、質問攻めになってしまう。
彼と同じ空気にいたい。
欲望は果てしない―――
「雨……最近よく降るな。俺、今日歩きなんだわ。お前置き傘持ってない?」
煙を吐き出しながら、まこは言った。
「置き傘なら、車に積んだのが……」
アリガト。
ふいに鬼頭の笑顔を思い出す。