TENDRE POISON ~優しい毒~

◆午後6時の沈黙◆



◇◇◇◇◇◇◇◇


午後6時。


あたしんちで明良兄と二人食事をしている。


別にいつも一緒に食事するわけじゃないよ。


今日はたまたま、ね。


「うまい。雅、いい嫁さんになるよ」


あたしの作った肉じゃがを食べながら、明良兄が言った。





「ありがと。そう言えば、あたし半年間神代の助手を務めることになったよ」


あたしは照れ隠しに言った。




「助手?」


明良兄は箸を休めた。




「うん。助手って言っても単なるお手伝いだけど。それでも神代に近づくチャンスがぐっとあがるよ」


「お前、すげーな!どうしたらそんな展開になるんだよ」


あたしはちょっと得意げに笑って、白紙の答案用紙を提出したことを話した。






「すげぇな。ま、お前だからできることだけど。


てかごめんな。乃亜のためにお前がわざわざ俺たちの高校受験して。ホントはもっとレベルの高い高校に行けたはずなのにな」



「やめてよ。あたしが好きでやってるんだから」


あたしはちょっと眉を寄せた。








「あたしは乃亜の復讐に全てを賭けてるの」





< 29 / 494 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop