TENDRE POISON ~優しい毒~
「俺、今からコンビニ行くとこなんだよね。バス停途中だから送ってくよ」
「え?いいですよ。悪いですし」
「そうだって、俺が送るし兄貴はコンビニ行ってろよ」
梶がムスッとして答えた。
「ついで、ついで。気を使うことないよ」
お兄さんは気軽そうに笑った。ちょっと感じが明良兄に似てるかも。歳も近いし。
「じゃぁ、バス停まで」あたしは頷いた。
「ちょ!いいって。俺が送ってくよ」
何をムキになってるんだろう。途中だったらホントについでだし。
それに今は梶と二人きりで歩くのが、正直辛かった。
「いいって。悪いし。じゃ、また明後日ね。バイバイ梶」
「バイバ~イ♪」
何故かお兄さんは楽しそうに梶に手を振って玄関の扉を閉めた。
半ば強引に玄関を出て、あたしはお兄さんとバス停まで一緒に歩くことになった。