TENDRE POISON ~優しい毒~
「ビデオ?何借りきたの?」
鬼頭は僕の足元に置いたビデオショップの袋を見た。
何だか名残惜しい気がしたが、僕は手を離した。
「これ?借りてきたんだ。気が滅入ってるときにはこれに限る」
「エロビデオ?」鬼頭が白い歯を見せてふふっと笑った。
「まさか。ホラー映画だよ。一緒に見る?」
「ホラー映画?先生が?そういうのダメそうなのに」
「好きだよ。新作が出てたからつい借りちゃった」
「一緒に見る」鬼頭は目だけを上げて僕を見た。
それがとても可愛らしかった。
くしゅん、と鬼頭が小さくくしゃみをした。
「そんなとこで寝るからだよ。女の子は体を冷やしちゃだめだよ。先にシャワー浴びてあったまっておいで」
僕は思わず苦笑した。
「見るの待っててくれる?」
「ん。待ってるから行っておいで」
「わかった」
鬼頭は頷くと立ち上がった。