TENDRE POISON ~優しい毒~
◆午後6時の来訪者◆
◇◇◇◇◇◇◇◇
ホラー映画のエンドロールが流れる。
あたしの知らない俳優のスペルがずらりと並んでいた。
神代は……
あたしの肩を枕代わりに瞳を閉じて、心地良さそうに眠っている。
映画が終わる30分ぐらい前から欠伸をかみ締めていたけど、10分前になるとうとうとと首を揺らし始めた。
エンディングが流れると、待ってましたとばかりにあたしの肩に寄りかかってきたのだ。
「先生、先生ってば。終わったよ」
神代を軽く揺すったけど、
「ん~?」と口の端で返事が返ってきただけだった。
こいつ。起きる気ないな。
ま。いっか。
気持ち良さそうで、ちょっと可愛い。
疲れてるんだね。寝かせてあげよう。
神代の柔らかい栗色の髪が、神代の使ってるシャンプーの香りが心地良い。
……今はもう少しこうしていたい。
ピンポーン
ふいにインターホンが鳴った。
「…先生、誰か来たよ」
「ん~まこかなぁ?鬼頭、悪いけどあけてくれる?」
トロトロと眠そうなまぶたをこすりながら、神代があたしを見る。
「いいよ」
あたしは神代の頭を退けると、玄関に向かった。