TENDRE POISON ~優しい毒~

え―――?


寝た……?


それは文字通りSlept(寝た)ではなく、Got laid(セックスした)って意味?




あたしは理解ができないという目で神代をゆっくりと見上げた。


神代は、紙のように顔を蒼白にさせていた。





got laidの方か―――





あたしの中から、何かがすり抜けていく感触がした。


どんどん、どんどん今までに集めた何かが……



すくっても、すくっても指の隙間から零れ落ちる水のように。


とめどなく。




水―――



あたし……目から水を流している。


その雫があたしの口元に流れて、しょっぱい味を舌の先で感じる。



あたし……泣いてる……?



何で―――?



「鬼頭……」


神代があたしの肩に手を触れようとした。


だけどあたしはその手から逃れるように、すっと脇に退いた。



何が何だか分からなかった。


あたしは神代の部屋を飛び出した。









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