TENDRE POISON ~優しい毒~
『何だよ、つれないな』
まこは不服声。
『何だよお前ら喧嘩でもしたわけ?』
まこは何も事情を知らないようだった。鬼頭、まこに話してないんだな。
そのことに不謹慎ながらもちょっとほっとする
「喧嘩って程でも……まこ、ちょうど良かった。鬼頭を2、3日預かってくれないか?」
『……いいけど、何か深刻そうだな』
「事情は全部話すよ。今から来れない?鬼頭の荷物も持ってやってってほしいんだ」
『分かった。今から出るわ』
うん、よろしく。と答えて僕は通話を切った。
手の中のケータイを見つめる。
逃げ回るのはもう止めた。僕は二人の女性を傷つけた。
話さなければ。
全て打ち明けなければ。
とうとうその時が来たんだ。