TENDRE POISON ~優しい毒~

「でも、何でエマちゃんとヤッたわけ?」


まこがしんみりした空気を追い払おうと、わざとおどけて笑った。


「ヤッたって…。何となく、流れで……。でも最低だよね。好きな人に告白する勇気もないくせに、近くにいる人を傷つけた」


まこは穏やかな笑みを浮かべて、僕の頭を軽く叩いた。




「そういうときもあるって。どんなに想っても叶わない恋だとか、どんなに好きでも障害があるとか、そいうときは心も体も寂しくなって、つい近くにある人間にすがりたくなる。

これは男だとか、女だとか関係ないな。人間そういう風にできてるんだよ。

で、過ちを犯したあとになって気づくんだ。自分は何て愚かなことをしたんだって。でもお前はそれを反省できる人間だ。

やっちゃったことは消えないけど、これからその経験をいかせばいいじゃんね?」




まこの……言葉が心に心地よく沈む。



そうだった。


まこは、昔から僕の心を軽くしてくれる。


がんじがらめになった僕の心をいつだって解きほぐしてくれる。





まこ―――




「好きだよ」








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