TENDRE POISON ~優しい毒~
「ちょ、ちょっと待て!お前が?俺のこと好き?それは昔から?ゲイってこと?いや、昔はお前女と付き合ってたよな?同棲もしてたし」
まこは慌てふためいている。
無理もないか。いきなり男から告白されれば、まこでなくてもストレートの男なら驚いて、慌てるに違いない。
「ゲイじゃないよ。僕は女の子が好きだ。好きな芸能人もみんな女性だし。いつからだなんて、はっきりとは分からないな。気づいたら、ずっと君を目で追ってった。
最初は戸惑ったさ。ああ、僕は君に恋してるんだなって」
まこは僕の言葉に目を逸らそうとしなかった。
嫌悪感を現さなかった。
そのまっすぐな視線が、今の僕には痛い。
僕はまこの目から逃れるように、顔を逸らした。
「ごめん、気持ち悪いよね」
握った拳が震えていた。
「ずっと……隠してたのか?その気持ちを」
言えるわけない。
エマさんとの一件がなくて、鬼頭を傷つけなかったら、一生言うつもりなんてなかった。
ただ、それは一生逃げ回ることを意味してた。
まこへの気持ちから。