TENDRE POISON ~優しい毒~
「明良まだ寝てるみたいよ。昨日遅くまで勉強してたみたいだから。起こそうか?」
「ううん、もう少し待ってみる。その間に乃亜姉ちゃんの部屋に行ってもいい?」
おばちゃんは、ちょっと悲しそうに微笑むと、
「ええ、行ってあげて。昔みたいに気軽に、ね」
あたしは乃亜姉の部屋を開けた。
おばちゃんがこまめに掃除してるんだろう、誇りっぽくもなかったし家具や小物は几帳面な乃亜姉が整理したままになってる。
どうしてここに来たんだろう。
乃亜姉に直接会いに行けばいいのに。
ううん。それはできない。
あたしは、乃亜姉を―――裏切ったから。
どんな顔して会いに行けばいいの?
ここに来たのは、あたしの勝手な気持ちを少し許してもらえる気がしたからだ。
あたしって最低。