TENDRE POISON ~優しい毒~

あたしは乃亜姉が使っていた勉強机の椅子に腰掛けた。


勉強机の上にディズニーランドのお菓子の空き缶をペン立てにしたのと、デスクライト、参考書や文庫本がちょこっと乗っていて、その隣に写真立てがあった。


木枠の写真立てに納まってるのは、家族4人とあたしが写った写真だった。


何年か前のお正月にとった写真だ。


この年も両親は仕事があってあたしは一人だったんだ。


だから、あたしは楠家と正月をともにしたんだった。


優しいおばちゃん。ちょっと強面だけど明良兄とよく似たおじちゃん。明良兄と、あたしと、




ひまわりようなこぼれる笑顔を見せる乃亜姉。



この頃は楽しかった。


幸せだった。




年のほとんどを仕事に費やす両親、友達の少なかったあたしは唯一3人で居るときが心休まるときだった。



いつも三人でいたよね。


あの頃はずっと三人でいられると思った。



ずっと……



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