TENDRE POISON ~優しい毒~
ごそごそと、みじろぎしたけど明良兄は起きだしてくる気配がなかった。
「明良……」
もう一度呼びかけてみる。
ふいに明良兄が身動きして、体をこちらに向けた。
寝ぼけたような目を半分開けて、
「何だ?雅……?」
とうつろな声で答える。
「ん」
明良兄は何やら幸せそうに笑うと、あたしの首の後ろに腕を回してきた。そのまま腕枕をされる。
「何か久しぶりだなぁ。こうやって寝るの」
「明良兄、あたしは寝に来たんじゃないよ。ちょっと聞きたいことがあって」
「ん~?聞きたいこと……?」
「うん。ねえ、乃亜姉の……」と言いかけて止めた。
「乃亜がどうしたぁ?」
「ううん。何でもない。ねぇ明良兄、お兄は好きでもない人とエッチしたことある?」
「ん~……」とまだ寝ぼけた声を出して、ちょっと沈黙があった。
また寝ちゃったのかな、なんて思ってると、突如がばっと起きだした。
「な!お前……!まさかっ!神代と!?」