TENDRE POISON ~優しい毒~
あたしはちょっとびっくりして、目をぱちぱちさせながら明良兄を見上げた。
「何もないよ。ただちょっと気になっただけ」
「気になったって……なんだよ、急に」
あからさまにほっとして明良兄が肩の力を抜いた。
「ねぇ、答えて?明良兄はそういうのない?」
明良兄はちょっと考えるように腕組みをして、目を細めた。
「そんなこと聞いてどうするの?」
「答えてくれないならいいや」
あたしは眉をしかめて起き上がると、布団から出ようとした。
その両肩に明良兄の手が置かれた。
?あたしが首をかしげると、
勢い良くベッドに倒された。その上に起き抜けの明良兄が覆いかぶさってくる。
「ちょっと!いきなり何する……」
「これが答え」
明良兄の真剣な顔が驚くほど間近にあった。
明良兄の黒い瞳の中に底光りする何かを見た。