TENDRE POISON ~優しい毒~
切れ長の瞳の奥がゆらゆらと揺れている。
さっき見た光が消えかかろうしていた。
切ない目。哀しい恋をしてる目だ。
神代の目と同じ色をしてる。
「乃亜姉を好きなの?」
明良兄は何も答えなかった。沈黙が流れて、その間に明良兄は2回ほどタバコに口をつけた。
「だってありゃ妹だろう?」
やがて明良兄が切り出した。
「でも血は繋がってないじゃん」
「ばっか。向こうは本当の兄貴だと思ってるんだぜ?気持ち悪いんだろ。んなもん」
明良兄はちょっと自嘲じみて笑った。
伏せた目に陰りを見た。
「それに、あいつは神代が好きなんだ。ずっと……」