TENDRE POISON ~優しい毒~
◆午後9時のGT-R◆
◇◇◇◇◇◇◇◇
月曜日。
職員用の下駄箱で大きな欠伸をして靴を履き替えてると、背後から声を掛けられた。
「でっけぇ欠伸」
聞きなれた声に僕は驚いて振り返った。
下駄箱に肘をついて、まこが体を斜めにしている。
「まこ」
「夜更かしか?それとも眠れなかった?」
僕はパタンと下駄箱の扉を閉めると、
「昨日一日テスト問題作ってた」と言った。
良かった。
案外、普通に喋れる。
もっとぎくしゃくするかと思ったのに。
それともまこがこうやって何事もなかったかのように、普通に接してくれるからだろうか。
「テスト?そいやぁ今週からだっけね。保健医にはそういうの関係ねぇから、気楽なもんよ」
「まこが気楽にできるのは、今まで僕らよりいっぱい勉強してきたからでしょ?」
僕は軽く笑った。
「まぁね」まこは短く返事を返すと、いきなり一枚の紙を僕の前にさっと出してきた。
「何これ?」
「イケメンコンテストの結果。ミスコンのもあるぞ。新聞部が配ってたぜ。あいつらも懲りないようなぁ」
まこは苦笑いをして、行ってしまった。