TENDRE POISON ~優しい毒~
◆午後7時の忠告◆
◇◇◇◇◇◇◇◇
「おっはよ!鬼頭」
下駄箱で靴を履き替えてると、後ろから梶の声が聞こえた。
梶はいつでも元気過ぎるほど元気だ。
それが今のあたしにはちょっとうざい。
昨日はあれから明良兄と口を利いてない。
部屋にこもったきり出なかったら、明良兄はいつの間にか居なくなっていた。
「おはよ」あたしは冷たく返事を返した。
「何だよ~、朝から暗いな。ちゃんと飯食ってきたか?」
食べてない。昨日の晩御飯も殆ど食べなかった。
食欲なんてない。
あたしは靴箱の扉を乱暴に閉じた。
「何だよ、不機嫌?」
あたしは苛々してるのに、梶はちっともへこたれないであたしの周りをうろうろ。
不機嫌の源ではないけど、こうウロチョロされるとさすがにうざい。
「おはようございま~す神代先生♪」
女生徒の声が聞こえて、
「おはよう」とそれに答える声が聞こえた。
ここにも苛々の原因が……