TENDRE POISON ~優しい毒~
◆午後10時の共犯者◆
◇◇◇◇◇◇◇◇
嘘!
何で神代がこんなところにいるの!!
あたしは慌ててバッとエスカレーターの影に身を隠した。
神代はしばらくきょろきょろしてたけど、諦めて出入り口から出て行った。
――――
――
神代、ちょくちょく乃亜姉のお見舞いに来てたのかな。
乃亜姉の自殺に責任感じてたみたいだもんね、当然……か。
てことはあの白いチューリップも神代が?
あたしはソファの上でごろりと横になって乃亜姉と明良兄のツーショット写真を眺めていた。
「今日千夏は夜勤だ。したがって今日は俺とお前だけ」
ふいに保健医がキッチンから声を掛けてきて、あたしは慌てて写真をしまった。
「そ。二人きり……か」
「そ。二人きり。お前とゆっくり話せるなぁ」
保健医はくわえタバコをしながら、何やら意味深な口調でこちらに来た。
手にはビールの缶とパスタがのった皿を持っている。