TENDRE POISON ~優しい毒~


な!何言ってんの、こいつ!


落ち着け、あたし。


こいつはカマかけてんのよ。こいつの得意技じゃない。


「言っとくけど、カマかけてんじゃねーよ」


あたしの考えを先回りして保健医が言った。


「ちゃんとした証拠が挙がってんの」


「証拠……?」


あたしが訝しげに顔をあげた。


「お前は相当周到だから最初から切り崩せるとは思わなかったから、




楠から攻めた」





あたしは目を開いた。




「あ、明良兄に何かしたんですか!」


言ってはっとなった。


保健医はにんまり笑って、タバコの灰を落とした。





「ふぅん、“明良兄”って呼んでるんだ」




しまった―――!!






< 369 / 494 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop