TENDRE POISON ~優しい毒~
「おはよう鬼頭。今日の放課後時間ある?」
神代はイラつくほどのさわやかな笑顔を浮かべてる。
「今日って何だよ!先生と何かあるんかよ」
神代の言葉に梶が食いついた。
「何か、って。ちょっと明日の授業の準備を手伝ってもらおうかと」
慌てて神代が答えてる。
「何で鬼頭にやらせるんだよ」
「何でって……」
神代は言いかけたが、あたしが被せるように、
「あたしが先生の手伝いをすることになったんだよ」と冷たく答えた。
「手伝いって何で……?」
梶がキョトンとしてる。
あたしは梶の質問を無視してくるりと背を向けた。
質問に答えるのも、説明するのも今は面倒だ。
「「鬼頭」」梶と神代の声が重なってあたしの背中を追ってくる。
今はすべてが面倒になっていた。
考えたくないのに、考えなければいけないことがたくさんあって頭がくらくらする。