TENDRE POISON ~優しい毒~

あたしは保健医の顔に自分の耳を寄せると、保健医の寝息が聞こえてくるのを確認した。


案外早かったな。


もうちょっとかかるかと思ったけど。




「アルコールは薬の作用を強めます。これって常識ですよ?」





あたしは保健医を見下ろしてくすっと笑った。




「目障りなのよ。消えて」




―――


小さく身じろぎして、保健医が目を開けた。


保健医の上に乗ったまま眠っていたあたしも目を覚ました。


「鬼頭……何でお前……そこに?」


あたしはふわふわと欠伸を漏らした。


「何でって、やだなぁ。昨夜のこと覚えてないんですかぁ」


まだ寝ぼけたままの目をこすりながらむくりとあたしが起き上がる。


ギシっとソファが大きく音を立てた。


その音が何だかひどく卑猥な音に聞こえる。


「昨夜……って何……」


保健医も半身を起こす。


そこでようやく自分が上半身何も身につけてないことと、あたしがキャミスリップ一枚の姿であることに気づいたみたい。


「は!何で?」


保健医の顔から見る見る血の気が失せていく。


「先生って結構いい体してるんですね♪


いつかあんたがあたしに言った台詞。そのまま返してやるわ」


あたしは低く笑った。




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