TENDRE POISON ~優しい毒~
◆午後11時の再会◆
◆◆◆◆◆◆◆◆
鬼頭が僕の元を去って、今日で3日。
「まだ3日しか経ってない」なのか、
「もう3日も経った」どちらなんだろう。
ただ、鬼頭の香りを部屋で感じることがなく、それが妙に寂しい。
ゆずも、食欲がなくて僕が出した餌を食べようとしない。
「早く戻ってくるといいね」
僕はゆずの頭をそっと撫でた。
心のどこかで会いたいって思ってたからかな。
だから、楠の入院してる大学病院で彼女の幻を見たんだ。きっと。
重症だな。
そう思ってると、
ピンポーン
ふいにインターホンが鳴って、僕はドキリとした。
期待するな。
どうせ、新聞の勧誘か何かだろう。
「はい」
僕はインターホンに応対した。
『……先生。……あたし…』
僕は目を開いて、その場で固まった。
だけど、次の瞬間足が勝手に動いていた。