TENDRE POISON ~優しい毒~
くらくら……
「「鬼頭!」」
二人の声が遠くで聞こえて、次の瞬間視界が真っ暗になった。
―――――――
――――
消毒液の匂いがする。
ビンの重なる音がしてあたしは目を覚ました。
「よ、起きたか?」
白衣を着た軽そうな男があたしを覗き込んでいて、あたしは思わず身を引いた。
「誰?」
「保健医に向かって誰とはないだろう?」
自称保健医は、さも心外だと言わんばかりにメガネをちょっと直した。
「保健室の林先生だよ。知らないかな?」
隣からひょっこり神代が顔を出す。
保健室の先生……てことはここは保健室?
「何で先生が……?」
神代は細い眉をちょっと寄せると、
「君倒れたんだよ。貧血らしい」と言った。