TENDRE POISON ~優しい毒~
◆午前0時の涙◆
◇◇◇◇◇◇◇◇
あたしが神代の元に戻って一週間。
神代は変わりない。どうやら保健医は沈黙を守ってくれてるようだ。
あたしに何か言ってくることもない。(ていうか、避けられてるみたいだけど)
あの写メには絶大な効果があったようだ。
そんなこんなで、慌しく試験は終わったし、あっという間にテスト用紙が返されてくる。
気づいたらもう終業式は目前だった。
「鬼頭!」
英語の授業が終わって、梶がテスト用紙を握りながらあたしの元へ来た。
「鬼頭のおかげで、ほれ!」
そう言ってあたしの前に英語の解答用紙を開いた。
64点となっている。
「俺いつも赤点すれすれだったから。こんな点取ったのはじめて♪お前は?」
梶はわくわくした様子であたしを覗き込んできた。
良かった。こんなあたしでも誰かの助けになってるんだと思うと、ちょっと心が軽くなる。
「あたしは99点。一問スペルをaとeを間違えた」
梶は目を丸めた。
「……相変わらずすっげーな。どうして同じ人間なのにそんな差があるんだよ」
感心したような、ちょっと悔しそうな複雑な表情を浮かべてる。
「なぁなぁところでさぁ鬼頭。来週のクリスマスイブって予定あいてる?」
クリスマスイブは……
予定は特にないけど。