TENDRE POISON ~優しい毒~
でもクリスマスを一緒に過ごすってことは、少なからず好意があるってことだよね?
だってクリスマスは特別な人と過ごす日だから。
あたしはまだ、梶に気持ちを伝えてない。
クリスマスを一緒に過ごしたら、梶に気を持たせることになる。
「ごめん、クリスマスは一緒にいられない」
あたしは答案用紙を握り締めて、梶の顔を見上げた。
梶は一瞬暗い顔を見せたけど、すぐに取り繕ったように笑顔を浮かべた。
「そっか。ごめんな~、じゃぁさ別の日に……」
「別の日もない」
あたしは無表情に答えた。
できるだけ冷淡に見えるように。
梶、あたしは酷い女なんだよ。だから早くあたしのこと忘れて……
梶は時間が止まってように、体を強張らせた。
「え……?なん……で?それってどういう……」
「ごめん」
今はまだそれしか言えない。
ホントにごめん。