TENDRE POISON ~優しい毒~

―――

テストが終わると、あっという間に終業式がやってきた。


梶とはあれ以来口を利いていない。


何かあたしを避けてるようにも見える。


まぁ無理もないか。





今日から冬休み。


冬休みはたった2週間だけど、あたしはもう梶とは会うことはない。




梶は男子5人ぐらいで群れをなしていた。


その輪に歩いていき、あたしは思い切って声をかけた。


「梶」


梶が驚いたようにこちらを振り向く。


唇を結び、目を開いている。



あたしはその顔に向かって言った。







「ばいばい」






「お、おう。また……な」


梶はぶっきらぼうに返してきた。





ごめんね、ホントのことあたしの口から喋れなくて。


でも梶が納得いく理由は必ず明良兄から伝えてもらうから。





だからバイバイ。



今までありがとう。








< 388 / 494 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop