TENDRE POISON ~優しい毒~
「
先生が運んでくれたの?」
「いや、梶田が運んだ」
神代はちょっと微笑むと、
「もう大丈夫そうだね」と言った。
もしかして……
ずっとついててくれたの?
あたしは神代の顔をじっと見る。
あたしより神代のほうが倒れそうな顔色してた。
「もう二限目だよ。先生には倒れたこと言っておくから、もう少し休んでなさい」
「いいよ。あたしはもう大丈夫」
そう言ってあたしは起き上がった。
まだ頭がぼうっとするけど、立てないこともない。
「無理するなよ」
林先生が腕を組んだ。
「平気です」一言言うとあたしはベッドを降りた。
無言で保健室を出て行こうとして、ふと足を止めた。
「そう言えば……お手伝い、放課後でしたよね」
くるりと振り返ると、
「手伝いはいいよ。今日はゆっくりと休みなさい」
神代は手を振った。
「いえ。約束ですので」
無表情に言ってあたしは今度こそ背を向けた。