TENDRE POISON ~優しい毒~

鬼頭とキスをしたことがある。


枕を並べて一緒に眠っている。


なのに……



心臓の血管が浮き出て一人暴れだしそうになっている。



僕は慌てて顔を逸らした。


鬼頭も顔を赤くして、ぱっと僕から離れる。



「だ、大丈夫ならいいけど……」


「う、うん。平気」





何だろう。


この胸の鼓動は。


ズキズキと痛いのに、でももっと感じていたい。



まこに対してもこんな風になったことはないのに。


まるで初めて恋を知ったようだ―――




店を出る頃には何となくぎくしゃくした雰囲気もだいぶ和んでいた。


それから町をふらふらとウィンドウショッピングして、ついでに少し洒落たレストランで晩御飯も食べた。


まるで普通のカップルがするデートのようだ。




気づくと、夜の12時だった。









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