TENDRE POISON ~優しい毒~
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「ふぅん。あれが噂の鬼頭ね」
腕組みをしてまこが口を開いた。
「何かとっつきにくそうな生徒だ。何考えてるのかさっぱりわからん」
まこは不審そうに扉のほうを見ている。
「感情をあまり表に出さないんだよ。僕も行くよ」
そう言って扉のほうに向かった僕をまこが呼び止めた。
「水月、お前のほうが倒れそうな顔してる。お前こそ、少し休んでけ」
僕が顔色が悪いのは、昨日さんざんまこのことを考えていたからだ。
「え……。休むってベッドで?」
「ほかにどこがあるんだよ」
まこはふんと鼻を鳴らした。
「いや、でも……」
「聞きたいこともたくさんあるしさ。どうせ次は授業がないんだろ?」
聞きたいこと……?