TENDRE POISON ~優しい毒~


「あの子から……昨日のお前と同じ香りがした」


僕をベッドに寝かせると、まこはベッドに椅子を引き寄せて腰掛けながら言った。




ぎくり、とした。


まこは少し怒ったように乱暴に頭を掻いた。




「あれほど首を突っ込むなと言ったはずだけど?」


「別に……突っ込んでなんかないよ」


「じゃあ、数学の準備ってどういうことだよ!どうしてそんなことあの子にやらせるんだよ」




まこは声を荒げた。


僕は思わずびくり肩を振るわせる。




「わり……つい……」


まこが俯く。




「でも、俺はお前が心配なんだよ。下手に首突っ込んでみろ。楠みたいになっちまったら……」


まこはそれ以上言わなかった。


その後に続く言葉はさんざん聞いた。


「まあ、あの子がそうなるとは到底思えないが」





「心配してくれるのはありがたいんだけど、僕は僕なりに彼女に向き合いたいんだ」




そう、これは楠にできなった僕の懺悔なんだ……






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