TENDRE POISON ~優しい毒~
半目で僕をちょっと睨みあげる。
その顔もまた可愛らしかった。
「痛いんですけど」
僕は彼女の頬をそっと撫でた。部屋は暖房をつけていないので寒いはずなのに、鬼頭はうっすらと汗をかいてる。
「うん、ごめん。我慢して?」
「我慢って……ってちょっと……」
僕は鬼頭の声を無視して、体を埋めた。
鬼頭は苦しそうに、息を荒げて僕の首にしがみついてきた。
立てた爪が背中に食い込む。
叫び声に近い声をあげて白い首をのけぞらせた。
こんなときにどうかと思うんだけど。
今、この瞬間が最高に綺麗だと思った。
鬼頭の中は熱を持ったように熱くて、自分が鬼頭の中にいるんだって実感できたんだ。
イきたくないな。
このままずっと……
こうしていたい。
心の底でそう思った。