TENDRE POISON ~優しい毒~
「俺がやめろって言っても聞かないよな。お前はこう見えて結構頑固だから」
まこが呆れたようにため息を吐く。
僕は布団を引き上げた。
まこが言っていることは分かる。心配してくれてるのも分かる。
でも……
そうじゃないかもしれないけど、鬼頭 雅の心に闇があるのなら、僕は救いたい。
こんなのエゴだとしか言いようがないけれど、これは僕のためでもある。
「TENDRE POISEN(タンドゥルプアゾン)……」
唐突にまこが口を開いた。
「え?」
僕は布団から顔を出した。
「……今思い出した。昔の女が使ってた香水だ」
「意味は『優しい毒』だ……
嫌な予感がする。お前気をつけろよ……」