TENDRE POISON ~優しい毒~
「こいつらがこそこそしてっから、とっつかまえて吐かせた」
「こそこそって……君たち今日は学校は休みじゃないか?どうしたんだ?」
楠も梶田も制服姿だった。
3年の楠は補習なんてないだろうし、梶田も補習者リストには入っていなかった。
部活があれば別だろうけど、それでも楠がいる理由が見つからない。
「それより水月、こいつら……」
と言いかけて、楠がまこを睨み上げた。
「いいのかよ。写真をばらまかれても」
「写真?」
益々状況が読めない。混乱する僕をよそにまこは続けた。
「んなのもうどーだっていいんだよ。それより鬼頭を何とかするべきじゃねぇのか」
凄みを利かせたまこの声が響く。
鬼頭……?
何でそこで彼女の名前が出てくるんだ。
はじかれたように梶田が腕をあげた。
「鬼頭!あいつ早く見つけなきゃ」
「待ちなさい。鬼頭がどうしたっていうんだ」
梶田はまこにつかまれたまま目だけをキッと吊り上げて僕を睨んだ。
「あんた、あんたのせいだ。
あんたが楠先輩を裏切ったから鬼頭は!」
梶田が悲痛な面持ちで叫んだ。