TENDRE POISON ~優しい毒~



「……梶田、君も知ってたのか?」


力なく聞いた僕の問いに梶田はゆるゆると首を横に振った。


「俺は今朝ことの全部を先輩から聞いて、


今日鬼頭がここで決着をつけるって言ってたから慌てて来たってわけ。




鬼頭を止める為に」




「鬼頭を……止める……。決着……?」




「そうだよ。





あいつ絶対あんたを殺そうとしてる。




あんたのためにあいつが犯罪者になるなんて、そんなの絶対にいやだ!!」





鬼頭は……僕を殺そうとしている……?



ばかな……


いくらなんでもそこまで。




「先生」



鬼頭の笑顔を思い出す。



きれいな笑顔。優しい笑顔。


でも、笑顔の下にいつも憎しみは潜んでいた。


精巧に創られた仮面のような笑顔の下には。





そう、全てが仕組まれた罠だったのだ。



僕を好きだと言ったのも、僕に見せる笑顔も、僕が辛いときに傍にいてくれたのも……



すべて。






全てがつくりものの世界だった―――









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