TENDRE POISON ~優しい毒~
抱き合ってどれぐらい経っただろう。
雨の音だけがしとしとと部屋を満たしていた。
雨……
雨は嫌いだった。
乃亜姉が自殺未遂をした日だったから。
でも、今はほんの少し好きになったよ。
先生と生きていこうと誓った日だから。
~♪
ふいにあたしのケータイが鳴った。
鼻をすすりながら、先生があたしからゆっくりと離れた。
「ケータイ……鳴ってるよ」
いつもどおりの優しい声。優しい笑顔。
あたしも微笑みを返した。
ケータイを開くと、
着信:明良兄
となっていた。
~♪
着メロは鳴り続けてる。
あたしは先生を見ると、顔を近づけキスをした。
先生はちょっと驚いたような顔をしてたけど、あたしの短いキスに応えてくれた。