TENDRE POISON ~優しい毒~

「ちょっ!先生!?」


鬼頭が慌てたように、手をばたばたさせている。


「ん~♪」


僕は聞いてない振りをして、彼女の白い首筋に口付けを落とした。


「わ」


鬼頭が声をあげる。


わっ、って何?もうちょっと色気のある声を出そうよ、雅ちゃん。


僕は思わず苦笑した。




彼女の体は細くて、柔らかくて。抱き心地がいい。


そんなことを考えていたら、僕の腕に鬼頭の手が遠慮がちに重なった。



「先生って引き締まってんね。何かスポーツとかやってた?」


「スポーツってほどでも……。高校生まで空手やってたってぐらいかな?」


僕は鬼頭の肩に顎を乗せて言った。


「空手?嘘?」


「いやいや、嘘なんてつかないよ。それに嘘ってどういう意味よ」


鬼頭はあははっと声をあげて笑った。


「ごめん、ごめん。だってイメージじゃなかったから」


「よく言われる。これでも黒帯だよ?」


「うっそ!すごいね~」


鬼頭が感心したような笑い声をあげた。


「あたしも」


「え?」


「あたしもやってたよ。空手。また共通点見つけた」





鬼頭は柔らかく笑った。




二人の生きてきた道を共有する何かを見つけたことが嬉しいようだ。



僕も。



僕も嬉しいよ。





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