TENDRE POISON ~優しい毒~

思ったより長風呂になってしまった。


二人とも、茹蛸のように顔を赤くしている。


でも二人で入る風呂は、何だかとても心地よかった。


僕が何の気なしにタバコを口に含むと、鬼頭はそのタバコを横から取り上げた。


「なに……?」


とい問いかけは鬼頭からのキスでかき消された。


熱を含んだように熱い唇を離すと、


「どうしたの?」とちょっと嬉しく、また恥ずかしそうに笑って聞いた。


鬼頭と初めてした車でのキスを思い出す。






「どうしたの?じゃないよ」


唇を尖らせると、鬼頭は僕の上におもむろに乗っかってきた。


ドキリとする。


誘っているのだろうか。


「先生って草食系?」鬼頭は微笑んだ。ちょっと挑発的とも言える色っぽい微笑みだった。


僕はちょっと考えたけど、すぐに微笑みを返し



鬼頭をソファに倒した。



鬼頭の腕が僕の首に巻きついてくる。



「ここでいいの?」


「ん。ここがいい。あのベッドはいや。エマさんとしたところだもん」


僕は思わず苦笑した。




「今度ベッド買いにいこっか」


そう柔らかく微笑んで、鬼頭の……雅の白い首筋に口付けを落とす。






そのときだった。





< 459 / 494 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop